第36話 虎の学ラン

博士

こんにちは、博士(ハクシ)ちゃんです。

かい

こんにちは、ハクシの夫のカイです。

当ブログをご訪問いただき、どうもありがとうございます。
このブログでは、中卒の夫・カイと博士号を持つ妻・ハクシの日常をご紹介しています。
学歴差があっても、とても楽しく暮らしていますよ!

さて、以前少しだけ夫・カイが中卒になった経緯として、カイの学生時代のエピソードについてご紹介しました。
今回もカイの過去についてのお話をご紹介したいと思います。

かい

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この記事の内容

カイの卒業アルバム

ある日カイさん妹・エムちゃんが、LINEでカイさんの中学の卒業アルバムの写真を送って来てくれました。
坊主に学ランのカイさんは、当時日本全国どこにでもいた感じの、ごく普通の中学生でした。
(しかし私にはおめでたいことに、超絶美少年に見えましたよ。馬鹿ですね。)

博士

なんだか、真面目そうな感じですね

かい

多分、真面目でしたよ。
ものすごく大人しかったし。

博士

それはなんとなく分かる

かい

入学したばかりの頃は明るかったけど、途中から大人しくなりました。

かい

通知表の通信欄にも、『1年の一学期は落ち着きがなかったけど、二学期になって急に落ち着いて…』と書かれていて

博士

へー、大人になったの?

かい

いや、違います…

そしてカイさんは、中学時代に突然おとなしくなった驚愕のエピソードについて教えてくれました。

従兄弟のシンちゃん

山口県の田舎の中学校に入学したカイさんは、最初は明朗闊達。
朗らかなれど落ち着かず。
クラスの中でも割と目立っていたそうで、カイさん曰く、

かい

給食のバナナを牛乳と一緒に食べると美味しいことを発見して、それをみんなに言ったら、みんなもやって…

博士

???

かい

クラスの中心とまではいかないけど、なんか目立っていました

博士

え、「目立っていた」って言っても、それだけ…??

博士

まあ良いや、それがどうして突然おとなしくなったの?

かい

同じ中学に従兄弟がいて、僕が入学した時はもう卒業していたんですけど。
でも中学校の近くの高校に通っていたから、たまにバス停で一緒になったりして、そういう時は一緒に帰っていたんです。

ということで、仮にこの従兄弟をシンちゃんとします。

このシンちゃんが、中学時代から超絶どヤンキーだったそうです。
どヤンキーというかなんというか、当時(今から30年前)の日本に数多く存在していた、『不良』とか『番長』みたいな人だったのですね。

そしてカイさんがシンちゃんとバス停で仲良く話している様子を、当時中3だったシンちゃんの舎弟達が目撃したらしく、ある日のカイさんの教室に来たそうです。

舎弟「ちーっす!カイさん、シンさんの従兄弟さんですよね?こちらをお持ちしました…」

そう言って差し出されたのは、ヤンキー愛用・ボンタンのズボンでした。
しかもそれはただのボンタンではなく、その中学の歴代の番長に受け継がれてきた、伝説の一品だったそうです。
こういうやつですね。てか今時楽天で売っているんですね・・・。
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中3のどヤンキーの先輩から、うやうやしくボンタンを差し出されたカイさんは、瞬時に

中学時代のかい

これを受け取ると、今後の中学生活がヤバいことになるのでは…

と思い、受取を拒否したそうです。

博士

でもそれを持ってきたシンちゃんの舎弟さんもカイさんからしたら先輩だし、怖い人だよね。
よく拒絶できましたね…

かい

だって僕は本当に普通の中学生だったから。
そんな怖い先輩に頭下げられてる時点で、もう恐縮しちゃって…。
逆に遠慮する方が気楽でした。

なるほど、まぁね、カイさんは自称ミニオン気質ですし、受け取るよりも遠慮する方が気楽なようです。

舎弟さんからの献上品

カイさんがボンタンの受取を拒否した後も、シンちゃんの舎弟は、次々と『ヤンキー御用達グッズ』を献上しに来たそうです。
その中学校の歴代番長が受け継いできたペタンコの学生鞄やら、短ランやら、学生服に着けるガラスのボタンやら…。

余談ですが私は学ランの学校に通ったことがないため、この「ガラスのボタン」というものの存在を知らなかったのですが、どうやらこれのことらしいです。
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こんなものがあるんですね…。
カイさんは「ガラスのボタン」と言っていたけど、名前から考えるとエポキシ樹脂でコーティングされているのかも。



閑話休題。
カイさんは全ての献上品の受取を、丁重にお断りし続けました。
平穏無事な中学生活を送りたい一心で…。

しかしどんなに断っても、次々と色々な品を持ってくるシンちゃんの舎弟達に対し、だんだんと申し訳ない気持ちも湧いて来たそうです。
さすがミニオン気質。

虎の学ラン

そんなある日のこと。

シンちゃんの舎弟が、これまたその中学校の歴代番長に引き継がれているという学ランを持って来ました。

それは、一見すると普通の学ランでした。
きちんとカラーも着いているし、短ランでもなくごく普通の形。
でも裏地一面に、月に向かって咆哮する虎の刺繍が施されていたそうです。
※これも昭和のヤンキーグッズの品揃えが豊富な楽天市場で探しましたが、さすがにありませんでした。


断っても断っても、何度も頭を下げてヤンキー御用達グッズを献上する先輩達に、カイさんも申し訳なさを感じていた頃合いだったので、仕方なくその一見普通の学ランを貰うことにしました。

これならボンタンやペチャンコの学生鞄、ガラスボタンとは違って、一見したら普通に見えるから、妥協点だと思ったそうです。

そして次の日からカイさんは、裏地に虎の刺繍が施されたその学ランを着ることにしました。
もしも受け取ったのに着ないと、何度も何度も中1の教室に足を運んで下さった先輩に申し訳ないから…。

虎の学ランの意外な効果

そういう訳で、裏地に刺繍を隠した学ランを着て中学生活を送ることになったカイさんですが、

かい

その学ランはやっぱり非正規品だから、表の布地の光沢が普通の学ランとは違うんですよ。
全然光ってなくて…。

博士

あー、なんとなくわかるかも。
きっとウールじゃないのだろうね。

かい

そうなんです。
遠目には分からないけど、間近で見ると布地が違うことが分かるんです。

ごくごく普通の中学生だったカイさんは、

中学時代のかい

もしも何かして先生に呼び出されたら、変な学ランを着てることがバレるんじゃ、、、、

と怯えるようになりました。

そして虎の学ランを着るようになってからは、とにかく目立たないようにしようという、それだけを心掛けていたそうです。

かい

これがちょうど1年の秋くらいのことだったので、通知表に『二学期になって急に落ち着いて…』って書かれていたんですよ。

博士

なるほど、そんな経緯があったのね。
すごいね、その学ラン。
着るとむしろより真面目になるとは。

博士

でもそんな学ラン来てたら、親が気づくのでは。
少なくともお母さんがクリーニングに出す時に、裏地の虎の刺繍に気づきそう。

かい

あー、たしかに。
母からは何か言われたかも。
でも僕は本当に真面目だったから、あんまり突っ込まれませんでした。

かい

多分親は、僕がいじめに遭っていると思ったのかも。

博士

まぁ実際に、ある種のいじめですよね・・・。



そのうち成長して、その学ランは着られなくなりました。
中2にあがると学ランを持ってきたシンちゃんの舎弟達も卒業したので、そのあとはずっと標準の学ランを着ていたそうです。

博士

その学ランて、代々の番長に受け継がれてきたやつなんですよね?
そしたら、卒業した時に誰かに譲ったの?

かい

え、いや、全く…。

かい

その学ランの歴史がどうであろうと、一度でも僕が着た学ランなんて受け継いでもしょうがないって感じで、誰からも何も言われませんでした。

博士

・・・。

かい

僕は、そういう存在だったので


なぜか、ちょっと嬉しそう


ということで、今もその歴代番長に受け継がれてきた伝説の虎の学ランは、カイさんの実家の箪笥にあるそうです。

★★★おわり★★★

博士

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

かい

また次のブログでお会いできたら嬉しいです!

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